• Coulyne

一杯のカクテルから

私はあまりお酒は好きではないのですが、ホット・バタード・ラムという温かいカクテルだけは好きで、冬になるとたまにそのカクテルが飲みたくなります。 そのカクテルを二十年前に初めて私に教えてくれたのは、学生時代にバーテンのアルバイトをしていた経験のある事務機の会社の新入社員さんでした。 知り合いの知り合いというだけだったのに、子供たちが彼になついたこともあったせいか、たまに思い出したように連絡を取り合い、きょうまで縁が続いているのです。 「友達と、次に会う約束をするのが苦手なんです。どんなに長い間会わないでいても、次に会ったらまるで昨日別れたばかりみたいに話ができるのが本当の友達だと思うから….」 そんなことをよく言っていました。 その彼とは、とくに友達という関係ではなかったのですが、まさにその言葉の通り、一、ニ年に一度くらいの割合で電話があり、一昨年は息子の仏前に手を合わせに来てくれましたが、その前に会ったのは5年以上前のことではなかったかと思います。 一昨年会ったとき、「あの頃は私も若かった。毎日充実してた。でも戻りたいとは思わない。今は今なりに幸せだから」そんなことを私が言ったら、「俺も本当にそう思うんです」と言ってました。 先日また久しぶりに電話が来たのですが、仕事や子供のことなどの近況報告を聞いていたら、彼の住む北国の風景と、なぜかホット・バタード・ラムが頭に浮かんできました。 たった一杯のカクテルから始まった縁ですが、二十年を過ぎてこの先どこまで続いていくのかとても楽しみでもあります。

0回の閲覧

最新記事

すべて表示

お知らせ

2020/5/27 メール受信の調子が悪くしばらく受信する事ができずご迷惑をお掛けして大変申し訳ありませんでした。 本日から復旧いたしましたのでどうぞお気軽にご連絡ください。

6月に思う

かつて住んだ家は近くに田んぼがあったので、6月の夜ともなるとそれは賑やかな蛙の鳴き声がした。 うるさいほどの蛙の鳴き声を聞きながら、田んぼの畦道に蛍を探しに出掛けたこともあった。 生きていたなら中年にさしかかるであろう息子が、小学5年生の姿で私の前で宿題をやっている。 窓の外は蛙の大合唱。 宿題を終えた子供の頭をなでる、まだ若い母親の自分がいる。 私は若い頃に戻りたいとか、人生をやり直したいなどと