• Coulyne

息子のいた風景

  ここを訪ねるまで一年以上かかりました。 心のどこかで、この町で、このマンションで今も元気で暮らしていると思い続けていたかったからでしょう。 黄昏どきにベランダに出ると、視線はいつもこの町の方向を探して、自転車に乗って会社から帰る姿を思い浮かべてしまいます。 今年の夏は格別の暑さだったから、夏が苦手な息子は大変な思いをしたはずだったけれど、もうそんな心配をする必要もないのかと思います。 三階の、息子とはるかちゃんの部屋は、もう違う人が住んでいるようでした。 あのベランダから手を振っていたな。 この玄関を入って訪ねる時は、いつだって楽しい気持ちだったな。 この自動販売機でジュースを買ってくれたっけ。 ここに住んでいたのはたった一年半だったけれど、幸せだったよね。 楽しかったよね。 心から 逢いたいなあ、と思いました。

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2020/5/27 メール受信の調子が悪くしばらく受信する事ができずご迷惑をお掛けして大変申し訳ありませんでした。 本日から復旧いたしましたのでどうぞお気軽にご連絡ください。

6月に思う

かつて住んだ家は近くに田んぼがあったので、6月の夜ともなるとそれは賑やかな蛙の鳴き声がした。 うるさいほどの蛙の鳴き声を聞きながら、田んぼの畦道に蛍を探しに出掛けたこともあった。 生きていたなら中年にさしかかるであろう息子が、小学5年生の姿で私の前で宿題をやっている。 窓の外は蛙の大合唱。 宿題を終えた子供の頭をなでる、まだ若い母親の自分がいる。 私は若い頃に戻りたいとか、人生をやり直したいなどと