かつて住んだ家は近くに田んぼがあったので、6月の夜ともなるとそれは賑やかな蛙の鳴き声がした。
うるさいほどの蛙の鳴き声を聞きながら、田んぼの畦道に蛍を探しに出掛けたこともあった。
生きていたなら中年にさしかかるであろう息子が、小学5年生の姿で私の前で宿題をやっている。
窓の外は蛙の大合唱。
宿題を終えた子供の頭をなでる、まだ若い母親の自分がいる。
私は若い頃に戻りたいとか、人生をやり直したいなどと思ったことは一度もないが、もう一度だけ、息子の頭をなでてやれるものならどんなによいかと思うときがある。
生きていたなら、ちょうど40歳を迎える息子の誕生日がまもなくやってくる。
いつも笑顔のあなたでいてください。
光凛
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