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  • Coulyne

息子のいた風景

  ここを訪ねるまで一年以上かかりました。 心のどこかで、この町で、このマンションで今も元気で暮らしていると思い続けていたかったからでしょう。 黄昏どきにベランダに出ると、視線はいつもこの町の方向を探して、自転車に乗って会社から帰る姿を思い浮かべてしまいます。 今年の夏は格別の暑さだったから、夏が苦手な息子は大変な思いをしたはずだったけれど、もうそんな心配をする必要もないのかと思います。 三階の、息子とはるかちゃんの部屋は、もう違う人が住んでいるようでした。 あのベランダから手を振っていたな。 この玄関を入って訪ねる時は、いつだって楽しい気持ちだったな。 この自動販売機でジュースを買ってくれたっけ。 ここに住んでいたのはたった一年半だったけれど、幸せだったよね。 楽しかったよね。 心から 逢いたいなあ、と思いました。

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